告白 *

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階段を上りながら拓哉は、自分の後ろをついて来る心結を時々振り返っては見ていた。 ケータイが見つかったって言うのに、山野のヤツすげぇー落ち込んでないか? 俺がまだケータイを返してないからだろうけど。 それにしたって・・・・。 確かに心結の顔はひどく強張り、笑顔は消えてなくなっていた。 明らかに俺のせいだよな。 俺が山野から笑顔を奪ったんだよな。 落ち込む拓哉。 眉間にシワを寄せながら、心にずっしりと鉛を抱えたような鈍い痛みを感じていた。 自分の目的を果たすためだったら、山野を傷つけてもいいのか? 階段を昇りながら、何度も自答自問を繰り返す拓哉。 そう思う度に、まるで拓哉を挑発するかのように、大崎先輩の顔がチラつく。 やっぱダメだ!大崎先輩に取られるくらいなら、俺はどんな手を使っても、山野を俺のモノにしたい! 人一倍プライドが高い拓哉。 心結を奪われることだけは何としてでも避けたかった。 その後屋上に着くと、拓哉はかなり強引なやり方で心結を説得し続けた。 その甲斐もあり、心結は渋々ながら拓哉の考えに同意する姿勢を見せた。 「じゃあ今日の放課後、裏庭で会おうぜ」 拓哉の顔に少しだけ笑顔が戻ったものの、まだまだ油断はできない。
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