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「あ、ありがとう。確かに私のケータイだよ。ずっと探してたんだ」
そう言って拓哉に歩み寄る心結。
震える手で、拓哉から携帯を受け取ろうとした時だった。
「おまえ、俺がそう簡単にケータイ返すと思ってんの?」
拓哉のセリフに伸ばした心結の手がピタリと止まった。
「・・・えっ」
心結は自分より背の高い拓哉を、信じられないといった顔で見上げた。
動揺を隠せない心結。
今にも泣き出しそうだ。
「甘いよ」
そんな心結に、拓哉はさらに追い打ちをかけるようにセリフを吐いた。
心結は自分の耳を疑った。
甘いよってなに?
っていうか、それ私の携帯だよ。
持ち主に返すのが道理じゃん!
心結は心の中でそう叫び、拓哉をキッと睨みつけると、再び手を伸ばし携帯を奪い取ろうとした。
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