本物

13/22
前へ
/381ページ
次へ
「お待たせ」 戻って来た拓哉が、テーブルにコーラとオレンジジュースを置いた。 「ありがとう!私ここのお店に来たの初めてだから、早速メモしとかないとね」 声を弾ませながら、拓哉にメモ帳を見せる心結。 しかし拓哉はメモ帳を見ながら笑っているだけで、なかなか座ろうとはしない。 「拓哉君も座ったら?」 見兼ねた心結が拓哉に声を掛けた。 すると── 「だったらもっと詰めろよ!」 拓哉が怪訝そうな顔で心結を睨みつけた。 別に詰めなくたって、前の席空いてるよ? 心結は不思議そうに拓哉を見つめ返した。 「いいから早く詰めろ!」 苛立つ拓哉は顎を振ると、奥に詰めるよう心結を怒鳴りつけた。
/381ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2935人が本棚に入れています
本棚に追加