本物

16/22
前へ
/381ページ
次へ
「ねえ、拓哉君もよくここに来てたの?」 一息ついたところで、心結が質問を投げかけた。 「うーーーん、どうだったっけ?」 コーラを飲みながら、とぼける拓哉。 記憶喪失?そんなわけないよね。 もったいぶってないで教えてよ! けど拓哉はコーラを飲むだけで、なにもしゃべらない。 そこで心結は別の質問をすることに。 「その時彼女と過激なことしたの?」 「バーーカ」 拓哉はそう言って、心結のおでこを軽く叩いた。 「ひっど~い!」 おでこを押さえながら文句を言う心結。 「ひょっとして心結もして欲しいのか?」 心結の顔を覗きこみながら、拓哉の口がニヤリと上がった。 「そんな訳ないでしょ!」 「遠慮すんなって!教えてやるよ、どんなことしてたか」 拓哉は目を妖しく光らせると、心結の肩をガッシリと掴んだ。 と同時に、心結は拓哉の胸へと強引に引き寄せられてしまった。 「ちょ、ちょっと冗談は止めてよ!」 必死に拓哉から逃れようとする心結。 けど── 「俺に逆らうと、どうなるか知ってるよな」 拓哉の低い声が心結の耳に重く響いた。
/381ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2935人が本棚に入れています
本棚に追加