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が、結果は──
拓哉の背は心結の背を軽く20センチは超えている。
心結も女子の中では決して身長は低くなかったが、拓哉はそれ以上に長身だった。
その拓哉が手を挙げれば、心結のジャンプ力があまりに凄くても、到底届く訳がない。
しかも心結はかなりの運動音痴。
高くジャンプするなど、最初から無理な話だった。
「もうっ、返してよ!」
それでも心結は、必死にジャンプを繰り返し叫んだ。
しかし、携帯にはまったく手が届かない。
そんな心結を、拓哉は表情一つ変えることなく見つめている。
なんでよ!私のケータイなのに!
それなのに、なんで私がこいつにこんな意地悪されちゃってる訳?
心結は訳が分からなかったが、携帯を取り返そうと必死にジャンプを繰り返していた。
すると、そんな心結をあざ笑うかのように、拓哉が「フッ」と笑った。
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