本物

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「あれくらいならいいだろ?」 拓哉が澄ました顔で、再び心結に迫ってきた。 「へーー、拓哉君ってあんなことしてたんだ~」 心結はニヤニヤしながら、拓哉の攻撃をはぐらかそうとした。 けど── 「うるさい!」 怒った拓哉が怒鳴り声を上げ、再び心結の肩を勢いよく掴むと、太ももをピタリと寄せてきた。 「ちょ、ちょっと止めようよ」 いつもの冗談だと笑い飛ばしてほしい。 その一心で心結は拓哉に訴えた。 けど今の拓哉は本気モード全開、すでに拓哉の指は心結の長い髪をすくい上げていた。 「心結の髪ってきれいだよな」 「そ、そう・・?」 心結は返答に困っていた。 なんなの拓哉君?今日は変だよ・・・・。 どうやら刺激を受けたのは、心結だけではなさそうだ。
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