本物

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拓哉の無茶振りに、心結の顔は茹で上がったように真っ赤になっていた。 「もう止めて!」 心結は小さく声を上げると、拓哉の手を払い除けようとした。 「そんな顔すんなって」 拓哉はぽつりと呟きながら、心結の手を掴み、もう一方の手で心結の赤く染まった頬にそっと触れた。 途端にビクンと跳ねる心結の肩。 これ以上私を刺激しないで! お願い、もう無理だから! 切羽詰まった心結は、上目づかいに拓哉を見上げ、哀願した。 うわぁー顔が近いぃ~~~。 拓哉との距離の近さに卒倒しそうになる心結。 そんな心結の背中に、拓哉は優しく手をまわした。
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