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今から数時間前───
「心結と草壁君、付き合い始めてもうすぐ1か月だよね」
昼休み、教室でお弁当を食べながら依理子が言った。
「へぇ~、もう1か月経ったんだ。早いね」
タコさんウインナーを食べながら、感心したように桃香が相槌を打った。
「大丈夫なの心結?」
心配そうに声を潜めながら、心結の顔を覗きこむ美穂。
美穂だけは、他の2人とは明らかに表情が違っていた。
「大丈夫って?」
不思議そうに首をかしげながら問いかける心結。
そんな心結に美穂は思わず詰め寄った。
「ちょっと心結!そんな呑気なこと言ってていいの?草壁君は彼女と2か月しか続かないっていうジンクスがあるんだよ。忘れたの?」
あっ、そう言えば・・・・。
「そうだったね、すっかり忘れてた」
心結の返事に大きくため息をつき、肩をがっくりと落とす美穂。
すると突然、依理子が箸を持ったまま立ち上がった。
「そんなことでどうするの心結!」
依理子は叫んでいた。
「で、でも・・・・」
迫力ある依理子に、弱腰の心結は何も言い返せないでいた。
心配してくれるのはありがたいけど、私たちは大丈夫だよ。
だって拓哉君とは本物のカップルじゃないもん。
まさにその通り。
でも、口に出して言える事ではない。
そっと口を手で塞ぐ心結に、6つの視線が集まった。
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