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──日曜日──
冬にしてはポカポカと温かい朝だった。
凍えそうな青空も、今日だけは何だか心結の目には違って見えた。
心結は厳選に厳選を重ねた洋服を着て、一足早く公園のブランコに座っていた。
何度も鏡の前でチェックしたから大丈夫よね。
あーーでも緊張するーーー!
早く来てよ~、拓哉君~!
心結にとっては初めての休日デート。
今にも緊張がピークに達しそうな心結の前に、拓哉は未だ現れない。
公園に一人ぼっち。
心結の吐く息が白く舞っていた。
「よう、待ったか?」
しばらくして、突然声をかけられ振り向くと───
ニットの上にロングコートを羽織り、タイトなデニム姿の拓哉が顔を現した。
「お、おはよう」
思わずありきたりの挨拶をする心結。
いつもと違う拓哉の私服姿に、戸惑いつつも舞い上がっていた。
「あれっ、心結緊張してる?」
「べ、別に」
慌てて拓哉に背を向ける心結。
図星なだけに、今の顔は見せたくない。
「へぇ~、心結の私服姿初めて見るけど、すごく可愛いな」
振り向くと、拓哉が不敵な笑みを浮かべていた。
な、なによいきなり・・・・。
褒められて、まんざらでもない心結だった。
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