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「ない、ない、ない~~~」
「ちょっとどうしたの?」
授業の始まる5分前、いきなり大声で叫ぶ心結(みゆ)に、後ろの席の依理子(えりこ)が声をかけた。
依理子は心結の中学からの親友の一人で、面倒見のいいお姉さんタイプ。
ケータイがないと目の前で叫ぶ心結を、ハラハラしながら見つめていた。
「ないの!私のケータイ電話。どうしよう・・・」
心結はポケットからハンカチやリップなどを机の上に出しながらわめいていた。
「どうしようって言ったって・・・」
もうすぐ5時間目の数学の授業が始まる。
今から探しに行くなんて絶対に無理。
「とにかくここはおとなしく授業うけて、それから一緒に探しに行こう!行った場所とかよく思い出しときな」
依理子は機転をきかせ、心結にそう促した。
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