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映画館のチケット売り場に着いた心結は、チケットを買おうとバッグから財布を取り出した。
すると──
「今日は俺のおごり」
そう言って笑う拓哉。
「でも・・・」
いつもおごってもらっていた心結は、なかなか財布を戻さなかった。
「心配すんなって。夏休みのバイト代が残ってるから大丈夫」
拓哉は笑いながら、コートのポケットから財布を取り出した。
なんか拓哉君っていつもこういう時男らしいよね。
こんなに素敵な彼氏なのに、なんで２か月で別れちゃうんだろう？
本当に不思議よね。
チケットを買う拓哉の背中を見ながら、心結はそんなことを考えていた。
けど、私たちは大丈夫よね。
もちろん本物のカップルじゃないってこともあるけど、それ以上に「別れる」とかって考えられないもん。
どこまでも前向きな心結は、自分自身にそんな結論を下していた。
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