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「なにイチャついてんの?おまえら仲がいいな」
その声にハッと驚き振り返る心結と拓哉。
声を掛けてきたのは、拓哉の親友、乃木京一郎だった。
「へへへっ、こんにちは草壁先輩」
そう挨拶するのは、京一郎の彼女、小沢隆子(おざわたかこ)だった。
「久しぶりだな小沢。あっ、俺の彼女、山野心結」
そう言って心結を隆子に紹介する拓哉。
「こんにちは小沢さん」
「私は京ちゃんじゃなくて、乃木京一郎の彼女の小沢隆子でーす」
軽く自己紹介を済ませたところで、京一郎がニヤニヤしながら言った。
「おまえらもデートか?」
「ああ、さっき映画見てきたとこ」
「あっ、もしかしてあの恋愛映画ですか?私も見たいんですよね~」
そう言って隆子は、京一郎に顔を近づけた。
隆子は、京一郎の腕にしがみつくように身体をピタリと密着させていた。
この二人は、どこから見ても正真正銘のカップルだ。
「分かったよ。またそのうち連れて行くよ」
会話はまるで夫婦みたい。
心結はすぐにバッグからメモ帳を取り出したい衝動に駆られていた。
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