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「そうだな、食おう、食おう!」
豹変した拓哉に焦ったのか、京一郎が慌てて料理を食べ始めた。
心結の隣では、拓哉が眉間にシワを寄せながら料理を頬張っていた。
ひとしきり料理を食べ終えたところで、京一郎が尋ねた。
「拓哉たちは、この後はどこに行くんだ?」
「そうだなー、図書館でも行ってみるかな」
拓哉が心結の顔をチラッと見ながら答えた。
「・・・・そ、そうだね」
何を言ってるの拓哉君。
学校の図書室をさんざん利用してる私と図書館に行こうだなんて、私またからかわれてる?
顔は笑ってはいるものの、心の中は不満でいっぱいの心結。
隣の拓哉を睨みつけるものの、軽く無視されてしまった。
「京一郎たちはどうするんだ?」
今度は逆に拓哉が尋ねた。
「俺?俺たちは、隆子に付き合って買い物。で、その後は俺ん家にこいつの荷物を取りに戻って・・・」
「荷物?」
京一郎のセリフに疑問を持った心結は、思わず単語を口にしていた。
「えへっ。昨日京ちゃん家はみなさんお留守だったんで、お泊りしちゃいました!」
「そう言うこと」
普通は右から左に聞きながすくらいの会話かもしれない。
けど心結は違った。「えーーーっ!お泊りぃーーー!!」
「バカ、声デカすぎ!」
甲高い心結の叫び声を止めるため、拓哉はすかさず心結の口にミニトマトを放り込んだ。
途端に声を出せなくなった心結。
「わぁー!さすが草壁先輩!」
そんな二人に隆子は拍手をおくった。
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