体験

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「なにビビってんだよ山野。おまえだってそのぉーーもうヤッちゃったんだろ?」 京一郎のセリフに、突然拓哉が気管に食べ物を詰まらせ、苦しそうに咳き込み始めた。 「大丈夫拓哉君!」 「もう、京ちゃんてばぁー」 心結と隆子は咳き込む拓哉にオロオロするばかり。 「ったく。水でも飲めば直るだろ」 京一郎はそんな二人の様子に、怪訝そうに眉をひそめた。 「で、どうなの山野」 京一郎はどこまでもマイペースだった。 こんな状況の中でも、まだ心結と拓哉の関係を聞き出そうとしていた。 「うっせー!ごほっ、黙れ京一郎!」 それに腹を立てた拓哉が、咳き込みながら凄みを効かせた。 効果はてきめん、京一郎はそれ以上何も聞いてはこなくなった。 ふぅー、乃木君たら何を言い出すのかと思ったら・・・。 でも、拓哉君も慌て過ぎだよ、いつもはあんなに冷静なのに。 ほっとする心結だったが、心の中にはモヤモヤした感情が生まれ始めていた。
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