屋上

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誰もいない屋上にやって来た拓哉と心結。 拓哉は早速柵の淵に腰を下ろすと、隣に座るよう心結に合図した。 はあはあと息を弾ませながら、仕方なく隣に座る心結。 いくら長身の拓哉でも、座ってしまえば低くなるのは当然のこと。 この低い位置からだと携帯を簡単に奪い返せそうだな、と心結は密かに企みながら、拓哉の隣に座った心結は、ほくそ笑みながら拓哉の顔をちらっと見た。 拓哉の鼻筋が通った横顔は、確かに依理子たちの言うように、とても整っていると思えた。 正面から見た顔も凄くカッコいいし、かなりのイケメンだと。 女子たちがキャーキャー言ってるのもなんだか頷ける気がするかも。 心結は拓哉の顔を客観的に眺めていた。 「何?」 そんな心結の様子に気づいた拓哉が、不機嫌そうに尋ねてきた。 「・・・・べ、別に」 心結はバツが悪そうに答えると、スカートの裾を押さえながら下を向いた。 スカートの裾はまだ濡れていて、少し湿っぽかった。
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