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一方心結は──
顔を赤く染めながら、何やら考え込んでいる様子。
拓哉が名前を呼んでも返事もしない。
「おい心結!」
苛立つ拓哉は怒鳴り声を張り上げた。
どうしたんだ心結・・・。
俺とデート中に考え事か?
あっ!まさか・・・。
咄嗟に思いつくのはただ一つ──
大崎先輩のことだけだ。
拓哉は急に立ち止まると、心結の背中に素早く両手をまわした。
拓哉のいつものお仕置きだ。
心結の長い髪がはらりと拓哉の腕に落ちた。
心結は拓哉の腕の中で目をドギマギさせながら身を硬くしていた。
が、ふと我に返った心結は、物凄い勢いで拓哉の胸を力いっぱい押しのけた。
呆気にとられる不満顔の拓哉。
その眉間には縦ジワが深く刻まれていた。
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