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そうよ!私ったらなに呑気に草壁君の顔に見惚れてんのよ。
屋上にはケータイを返してもらうために来たんじゃない!
心結はうっかりここに来た目的を忘れかけていた自分を叱りつけた。
そして心結はスッと立ち上がると、「私のケータイだと分かったってことは、当然草壁君は私のケータイの中を見たんだよね?」と、拓哉を軽く睨みつけながら尋ねた。
「まーな。持ち主を探るためにケータイの中を見るのは当り前のことだろ」
逆に開き直る拓哉。
あーーーあ、終わった・・・。
と心結は心の中で思った。
こんなことになるくらいなら、携帯のロック機能をONにしとけば良かった。
でもそうしたら携帯は見つからないのかぁ。
心結はがっくりと肩を落とすと、大きなため息を吐いた。
「けどさぁ、ケータイの中を全部を見た訳じゃない。俺はそんなこと興味なんてないし」
なにを根拠に拓哉はそんなことを言っているのだろう。
心結は思いきり眉をひそめた。
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