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心結は何か企んでるのか?
この時ばかりは拓哉にも、心結の真意はまったく理解できなかった。
* * *
食べ放題の店に着いた4人。
賑わう店内に空いてる席を見つけると、荷物を置き早速料理を取りに向かった。
にこやかな表情を浮かべているものの、拓哉は内心焦っていた。
京一郎がいつか心結に変なことを言い出すんじゃないだろうな。
それが気になって、なかなか食事や会話に集中できずにいた。
しかし──
「山野は随分可愛くなったよな~」
京一郎のセリフを耳にした拓哉は、この時だけは違っていた。
隣で否定しながらも、心結は照れたように顔を赤くし、まんざらでもない様子だ。
なんだよ心結、男にちょっと褒められただけでうれしいのか?
おまえ軽すぎだろ?
次第に心結にまで不満を募らせる拓哉。
おまけに目の前の京一郎が嫌らしい顔で心結を見ているのも気に障っていた。
おい京一郎!小沢の前でいいのか?
京一郎に鋭い視線で威嚇する拓哉。
今の拓哉はジェラシーと言う呪縛にがんじがらめに縛られているようだ。
拓哉の異変にいち早く気づいた京一郎は、慌てて料理を食べ始め、事なきを得た様子。
しかしこれは終わりではなく、始まりにしかすぎなかった。
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