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「じゃあね」
「バイバイ」
やっと京一郎から解放された拓哉には、どっと疲れが。
そんな拓哉の隣で、心結が急に笑い始めた。
「拓哉君も案外子供みたいなとこあるんだね」
今日の拓哉の慌てぶりが、心結にはすごく意外でおかしかったらしい。
ったく俺の気も知らないで・・・。
売り言葉に買い言葉のつもりだった拓哉は、心結にこんなセリフを口にしていた。
「なっ!それを言うなら心結の方だろ!俺はおまえみたいに子供じゃないぞ」
ほんの軽い気持ちだった。
もちろん拓哉は、心結を傷つけようなど少しも思っていなかった。
それなのに──
心結の表情がさっきまでとは明らかに違っていた。
・・・・心結?
拓哉の胸がザワザワと騒ぎ始め、事態はあらぬ方向へと動き出していった。
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