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拓哉はひどく焦っていた。
いきなりキスの話題になったものの、どう対処していいか分からなかった。
もし今ここで心結を好きだと言ったら、心結は俺を受け入れてくれるのか?
もし心結に、キスしたいと言ったら、心結は素直に応じてくれるのか?
そんな答えの見つからない疑問が次々とわき上がる度、拓哉の動悸は激しさを増していった。
返事をを決めかねている拓哉をよそに心結は、
「変なこと言っちゃってごめん。行こっ拓哉君!」
と、開き直ったように拓哉の手を取り歩き出した。
まるで、自分の言ったセリフを否定するかのようにも見える。
心結は本当はどうしたいんだ?
俺はどうすれば・・・。
教えてくれ心結。
拓哉は複雑な思いを胸に、虚ろな視線を心結に注いだ。
繋がった心結の手から伝わる温もりに、少しほっとする拓哉。
次の瞬間──
俺は本気で心結が好きだ!
拓哉の心に熱い思いが湧き起り、拓哉の瞳に光が戻った。
心結にマジで告りたい!
いや、告るんだ!
たとえ思い通りの結果が得られなくても、僅かな望みに賭けてみたい!
今の現状を続けていく限界を感じ始めていた拓哉の大きな決断だった。
それぞれ二人に、大きな変化が訪れようとしていた。
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