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ピューと空っ風が舞い上がり、心結の長い髪やスカートを悪戯に乱す。
手で押さえようとしても、片手しか自由にできない心結は思うように上手くできない。
もうっ、嫌な風!
心結は必死に押さえようと奮闘していた、そんな時だった。
拓哉がさっと心結の前に立ちはだかり、突風から守ってくれたのだ。
目の前にある拓哉の背中に、心から感謝する心結。
じっと見つめているうち──
「んっ?」
拓哉が声を出したのも無理はない。
心結が拓哉の背中におでこをちょこんとつけたのだ。
無意識ではなく、明らかに心結の意志でやったことだ。
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