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「拓哉君、昨日私の小説読んでくれた?」
おでこをつけたまま、心結は小さな声で尋ねた。
「うん」
拓哉の声が背中を通して聞こえてくる。
「じゃあ私の気持ち分かってくれたんだよね?」
「・・・・何が?」
いつもの拓哉なら、「当然だろ!」ってすぐにバカにしたはず。
なのに今日の拓哉は振り向きもせず、必要以上に多く語ろうとはしない。
・・・・拓哉君・・・?
沈黙は心結の胸を突き刺した。
心結はスカートの裾をギュッと押さえながら、胸の苦痛と戦っていた。
何が辛いのか、正直心結にもよく分からなかった。
けど、この胸の痛みだけははっきりと感じていた心結。
あれっ?私ドキドキしてる。
この状況下の中、心結は意外にも胸をドキドキさせていた。
──恋愛にはドキドキが必要──
以前拓哉が教えてくれた言葉が脳裏に浮かぶ。
ってことは・・・・、あれっ、じゃあ私・・・・。
ま、まさか!?
心結は心の変化に大きく動揺していた。
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