衝撃 *

7/17
前へ
/381ページ
次へ
「はぁぁぁ」 激しい動悸に苦しみながら、拓哉は下駄箱に寄り掛かり大きなため息をついた。 「ごめん、待った~?」 ちょうどとその時、心結が駆け足で玄関に姿を現した。 余韻が残っているのか、心結の頬はほんのりとまだ赤い。 よほど大崎先輩との会話が楽しかったのだろうか。 そんな心結納に拓哉の胸がチクりと痛んだ。 大崎先輩が好きだと言うことを、俺が知っているなんて心結は知らない。 もちろん俺が心結を好きだと言うことも。 だから心結の平然とした態度が余計にワザとらしく感じられ、拓哉の癇に障った。 もし俺が諦めのイイ性格だったら、こんなに苦まなくて済んだのにな。 けど、あいにく俺は性格がひねくれている。 いばらの道を選ぶしかなさそうだな。 拓哉が鼻でフッと笑った。 と同時に、まるで吹っ切れたように拓哉の顔に笑みがこぼれた。 「行こうか」 拓哉の口から放たれる優しい響き。 それとは裏腹に、拓哉の頭を駆け回る悪戯な悪巧み。 心結、覚悟しとけよ! 嫉妬や怒りをねじ伏せながら、これから起こる出来事に大きく胸躍らせる拓哉だった。
/381ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2936人が本棚に入れています
本棚に追加