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心結が楽しそうに笑う度、大崎のことを思ってるんじゃないかと疑う拓哉がいた。
ちぇっ、俺って案外小せぇーな。
ウジウジしてるのも嫌だし、今ここではっきりさせるか?
心結と繋ぐ手に思わず力が入る。
そのせいで、心結が首を傾け、拓哉を不思議そうに見つめた。
目が合った拓哉は、思わず口を開いた。
「おまえの好きな奴って大崎先輩か?」
一瞬心結は顔を強張らせた。
が、すぐに恥ずかしそうに顔をプイッと横に逸らした。
俺に本心を言い当てられて困ってるのか?
心結を見つめる拓哉は意外に冷静だった。
「・・・・図星」
拓哉は心結の頭をコツンと小突いた。
心結はそれでも返事をしなかったが、それは認めた事も同然。
まあ、それはそれでいいさ。
くるりと背を向けた拓哉に、今まで沈黙していた心結が突然ポツリと呟いた。
「拓哉君だって好きな人いるんだよね?その人って高校生?」
その瞬間、ぴたりと足を止めた拓哉。
が、すぐに思い直したように歩き始めた。
「俺の好きな人知りたい?」
拓哉は口角をキュッと上げると、意地悪な視線を心結に注いだ。
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