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「楽しみだな心結の手料理」
拓哉はそう言ってイスに座ると、心結の後ろ姿を見つめていた。
カーディガンの袖を捲り上げ、手を洗う心結。
束ねた髪の毛が、心結の動きに合わせ微かに揺れた。
「私だってやる時はやるんだから!って言いたいんだけど、そんなに期待はしないでね」
手を洗い終えた心結が、ハンカチで手を拭こうとした時だった。
「きゃぁっ!ちょ、ちょっと拓哉君何するの?」
心結が突然悲鳴を上げた。
拓哉がいきなり心結に抱きついたからだ。
「ほら、仲のいい奴らはこうやってじゃれてただろ?無防備な心結にそれを教えてやろうかと思って・・・」
「そ、そんなぁ~~~」
心結は声を上げながら、身体を捩って抵抗した。
心結の顔はすでに真っ赤だった。
そんな心結の横顔を見た拓哉は、慌てて手を離した。
やべぇー、またやり過ぎたか?
拓哉は意味の無い咳払いをしながら、イスに座り直した。
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