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「おまえのケータイ、やたらメールの件数が多くてさ、正直驚いたよ」
「メ、メール!?」
あっ!心結はハッと息を飲むと、大きく目を見開いた。
そんな心結の前で、拓哉は何食わぬ顔で心結の携帯を眺めている。
「そうメール。気になってメールは少しだけ覗いた」
「えーーーーっ!!ちょっとなによ、人のメール勝手に見るなんてヒドイよ!!」
「だって半端ない件数だったんだぜ。悪いとは思ったけど、なにか山野が大変なことに巻き込まれてるんなら見逃せないと思ってさ。どう?俺の正義感」
拓哉はそう言うと、じっと心結を見つめた。
どうって言われても・・・・。
困惑しながら拓哉を見つめ返す心結。
けど、拓哉の瞳は少しも揺らぐことはなく、とても嘘を言っているようには見えなかった。
だからこそ、拓哉が真実を言っているからこそ、心結は余計に拓哉を許すことができなかった。
メールを見たということは、心結が携帯小説を書いていることを知っているということになる。
自分が今まで秘密にしていたことを、目の前にいる草壁拓哉に、いとも簡単に知られてしまった。
どうしよう・・・・。
心結の頭は混乱していた。
どうしていいか分からず、心結は半分泣きそうな顔で拓哉を睨み続けていた。
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