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「それで分かったんだよ。山野って携帯小説書いてたんだな。メールは小説のファンからのメッセージだった」
拓哉は心結の秘密を、なんのためらいもなく暴露し始めた。
本当に全てが終わってしまった・・・・。
そう心結は痛感していた。
いつしか腹立たしさは消え、心結の心の中に虚しさだけが広がっていった。
携帯小説を書いていることは、家族はおろか親友にも話していない。
心結は秘密主義と言う訳ではないが、かなりの小心者。
自分が小説を書いていることを、どうしても告白することができなかった。
それなのに──
まさか話をしたこともなかった草壁拓哉に知られてしまうとは。
心結の心はザワザワと大きく波打ち、何度も押し寄せてくるドロドロした感情に、心結はなす術もなく流されそうになっていた。
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