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でも、心結はこのままで終わりたくはなかった。
というより、終われない。
こうなった以上、心結は拓哉に対して開き直る態度を取るしかなかった。
「だから何?私なんかが携帯小説書いてちゃ悪い?」
「いや、そこまでは言ってないだろ。むしろその逆。実は俺嬉しいんだ」
「嬉しい?」
予想に反した拓哉の言葉に、心結の心は少し揺れた。
心結は、僅かな期待を込めて拓哉を見つめた。
「実は俺小説読むのが好きなんだ。今は携帯小説にもハマってる。ホントに偶然だけど、山野の小説、俺結構気に入って読んでたんだ。だから山野のケータイ見た時、すんげー驚いたよ」
草壁君が、私の小説を以前から知ってて、おまけに好きだと言っている。
今まで携帯上でしかファンとのやり取りがなかった心結にとって、「好き」という拓哉のストレートな言葉は、かなりの衝撃を与えるものだった。
私の小説が好き───
なんか胸の辺りがくすぐったいよ。
こんな気持ち初めて!
さっきまでのドロドロした心結の気持ちは、拓哉の一言ですっかり払拭されていた。
私の小説が好きな拓哉なら、秘密を守ってくれるかもしれない。
心結の気持ちは次第に傾いていった。
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