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「他の読者も言ってるだろ?山野の小説には恋愛要素が一つも描かれていない。それって問題だろ」
「・・・うっ」
確かにその通りだけど・・・・。
実際心結には他の読者から、『恋愛小説を書いてください』とか、『恋愛感情が乏しくて残念』といったメッセージが多数届いていた。
今更拓哉に言われなくても、心結は十分認知しているつもりだった。
それなのに、面と向かって言われると妙に腹が立つ。
「メールの内容も読んだのね」
心結は拓哉を睨みつけると、声を震わせながら言った。
すると──
「バカ!そんなことするわけないだろ。山野の小説なら俺のケータイからでも読める。俺が自分のケータイを見て何が悪い」
拓哉は声を荒げ、反論してきた。
逆切れしてるよ。
心結はそんな拓哉の態度に苛立ちながら、両手をギュッと握りしめた。
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