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拓哉が女子に人気があることを、心結は情報通の依理子と桃香から何度も聞いて知っていた。
つい最近も、拓哉が女子生徒から告白されているのを見たとか見ないとか。
もちろんそれだけではない。
心結自身、今まで会話したことがなかった拓哉とこうしているわずかな間でも、拓哉の魅力を十分実感していた。
確かに拓哉の言っていることに間違いはなさそう。
けど、だからってそれがどうだっていうの?
心結が恋愛モノを書かないのには、ちゃんとした理由があった。
心結は高2になった今でも、男子と一度も付き合ったことがなかった。
たとえ好きになってもせいぜい片思い止まり。
当然男性経験もなし。
そんな心結は、恋愛小説に憧れはあるものの、書く気にはなれなかった。
と言うより、自分には書くことができないとそう思い込んでいた。
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