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「そんなの無理だよ!教えてもらったからって書けるわけじゃないよ。私はいいの、今のままで」
心結は強気な姿勢で拓哉に訴えかけた。
しかし拓哉は心結の気持ちを聞き入れようとはせず、自分の意見を曲げようとはしない。
「嫌なんて言わせない。俺はおまえの命の恩人なんだぞ。その俺が教えてやると言ってるんだ。好意は素直にありがたく受け取れよ」
「恩人って・・・」
確かに心結自身が使った言葉だったが、それをここで持ち出されても・・・。
心結は不快な気持ちになった。
すると拓哉は───
「それと──」と言って、ググッと心結に顔を近づけた。
そして心結の両肩を掴み、更に顔を近づけると、
「いいか、俺は山野の秘密を握っている。そのことを忘れるな」
と、声をひそめて言った。
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