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心結は反論したくても反論できなかった。
なぜなら、拓哉の顔があまりにも近すぎて、全身が固まってしまったからだ。
恋愛経験のない心結にとって、拓哉のこの行為はあまりに衝撃的すぎる。
心結は何度も目をパチパチさせながら、顔をまるで火がついたかのように赤くさせていた。
もうっ!何様のつもりよ草壁拓哉!
恋愛アドバイスですって!?
ふざけないでよ!
余計なお世話だっていうの!
あたふたしている心結を見て拓哉はクスッと笑った。
「じゃあ今日の放課後、裏庭で会おうぜ」
心結にすっとケータイを手渡すと、拓哉はくるりと背を向けた。
自分の目の前から去って行く拓哉の背中に向かって、舌を出す心結。
すると心結の行動を見透かしたように、拓哉の足がピタリと止まった。
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