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「待ち合わせの時間は3時30分。少しでも遅れたらその時は罰を受けてもらう」
拓哉はそう言って振り向くと、不敵な笑みを浮かべた。
ぞくーーーーっ!
心結は拓哉の笑顔に身震いすると、両腕を抱えた。
と同時に、心結の心がざわざわと音をたて騒ぎだす。
けど、草壁君の言うことも一理あるかな。
心結はふとそんなことを思った。
どうせ今のままだと、いつまで経っても恋愛小説なんて書けないもんね。
心結はため息を一つ吐くと、柵に寄り掛かり空を見上げた。
もうすぐ秋が終わる。
そんな空に浮かぶ白い雲。
どこまでも果てしなく広がる空にフワフワと浮かんでいる。
心結は降り注ぐ太陽の光に向かって大きく手を伸ばした。
まあ話だけでも聞いてやるか。
秘密もばらされると困るし。
心結はようやく戻ってきたケータイを見つめ、微笑んだ。
そしてポケットに大事そうにしまい込むと、教室に向かって歩き出した。
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