契約

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そんな心結が教室を飛び出したのは、拓哉との約束の5分前。 焦った心結は廊下を猛ダッシュで駆け抜けた。 いきなり遅刻なんてありえないよ~~~。 確か草壁君、遅刻したら罰がどうとかって言ってなかったっけ? 心結の心に次第に不安が広がっていく。 けど今は一分一秒早く裏庭に行かなきゃ。 心結は廊下を駆け抜け、階段を駆け下りると、裏庭に続く小路を走った。 *  *  * 「ガザガザガサ」 生い茂った草をかき分けながら、心結は裏庭に入って行った。 けど拓哉の姿はどこにもなかった。 「ふぅ、どうやら草壁君はまだ来てないみたいね」 心結はそう呟くと、裏庭の奥へと進んで行った。 夕方になると裏庭は、昼間と違い木々の影が多くなり、かなり薄暗くなっていた。 なんか不気味・・・・。 一人拓哉を待つ心結にとって、あまり気持ちの良い場所とは言えなかった。 すると突然── 「ガサッ」   心結の後ろで物音がした。
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