契約

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「ひゃぁ~~~!」 心結は声を張り上げながら、音のする方を振り向いた。 するとそこには─── 木と木の間から拓哉がゆっくりと姿を現した。 「誰がまだ来ていないって?」 不機嫌そうな顔をして心結の前まで来ると、拓哉は静かに立ち止まった。 「いきなり遅刻とはいい根性してんじゃん」 拓哉は腕時計をちらっと見ると、心結に視線を向けた。 「ごめんなさい。ちょっと友達に捕まっちゃってて。けど、遅刻っていうほど遅れてないでしょ?」 心結は少し肩で息をしながら答えた。 それなのに─── 「ふんっ、知るかそんなこと!」 心結の目の前で、拓哉が吐き捨てるように言った。
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