契約

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「ぷははははっ」 目をギュッと瞑り、頭を押さえこんだ姿勢の心結の耳に、拓哉の笑い声が飛び込んできた。 へっ? 目をゆっくりと開くと、拓哉がお腹を抱えて笑っている。 心結は訳が分からずポカンと口を開けていると。 「やっぱりな!これで確信したよ。山野は恋愛経験まるでゼロってことが。ってことは、俺はかなり頑張らないといけないみたいだな」 確かに拓哉が言っていることはすべて正しい。 心結のウソは拓哉には全然効果がなく、すぐに見破られてしまった。 心結は自分がどんどん惨めになっていくのを感じていた。 なぜ私は草壁君にここまで意地悪されなきゃいけないの? ちょっとウソついただけなのに。 そんな心結の心情を、さらに拓哉は追い込んでいく。
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