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「結果として、おまえはケータイを落として正解だったんだよ。こうして俺と知り合えたんだからな」
拓哉のセリフを信じられないといった表情で見上げる心結。
ここまでズタズタに落ち込んでいるのに?
それを良かったという拓哉の真意が心結には分からなかった。
と言うより、分かりたくもなかった。
それなのに───
「俺が山野にアドバイスしたいと思ったのは、あくまでも山野の携帯小説を良くするためだ。これでも俺は山野の才能を高く評価しているんだぜ」
拓哉は今まで見せたことのない微笑みを、心結に向かって投げた。
それはもう優しくて、温かくて、心がくすぐられるほどの眼差しだった。
心結の目に、拓哉がまるで天使のように映っていた。
まさか・・・・。
さっきまで悪魔にしか見えなかったのに?
心結は何度も目をこすった。
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