契約

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「それだよ、それっ!今の感想は山野が経験したからこそ言えたんだろ?何もないければ答えられなかった筈。そうやって俺から教わったことを小説に活かしていけばいいんだよ。そうだろっ!」 急に真剣な眼差しを拓哉は心結に向けた。 「う、うん・・・・」 拓哉の言った意味が分かったような分からないような。 心結の頭はかなり混乱していた。 けど、目の前の拓哉の笑顔を絶やしてはいけない。 それだけは経験ゼロの心結でも、たやすく判断できた。 「じゃーそう言うことで、契約成立!」 拓哉は満足そうに笑っていた。 「よ、よろしくお願いします」 心結もぎこちなく拓哉に向かって微笑んだ。 「今度の山野の新作、楽しみにしてるから」 拓哉のセリフが心結の心に重くのしかかる。 難しい課題を与えられた心結の笑顔は、どこか引きつっていた。
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