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廊下を走る心結たちの後ろから、
「ヒューーー」 「暑い暑い!」
と、冷やかす男子たちの声が聞こえた。
心結はそんな言葉が自分に向けられていると思うと、恥ずかしくて堪らなかった。
もう嫌だよ~~~。
こんなんじゃ、ますます誤解を解きにくくなっちゃうよ~~。
けど拓哉の手を振りほどくこともできず、ひたすら下を向いて走り続けるしかなかった。
仮にもし心結が拓哉の手を振り払ったら、拓哉は間違いなく心結をお仕置きと称しハグするだろう。
それだけはどうしても避けたい。
心結は心の中で何度も叫んでいた。
けれどそんな声が拓哉に届くはずはなく、虚しさだけを感じていた。
不安のまま廊下を走り、階段を駆け上がる心結。
心結の手はずっと拓哉と繋がったままだった。
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