偽彼

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「俺もうかつだったよ。裏庭は死角だと思っていたからな。けどまずいことに、山野とハグしてるところを見られたらしい。だから俺と山野が付き合ってるって誤解されたみたいだな」 「そうなんだ・・・・」 心結はますます気持ちが落ち込んでいった。 「あの状況を見たら、そう思われても仕方ないだろうな」 「どうしよう・・・。もうおしまいだよ~~~」 心結は頭を抱えながら嘆いた。 確か裏庭はたくさんの木が生い茂り、周りからは見えにくい構造の筈。 それなのにどうして・・・? けど草壁君ならこのピンチをなんとか解決してくれるかも。 淡い期待を込め、心結は拓哉の顔をじっと見つめた。 けれど─── 「俺にもさっぱりわからない。運が悪かったとしか言いようがないのかもな」 運が悪い!? それだけ? そんなぁ~、最悪だよ~。 拓哉の口からは、期待に反する言葉しか出なかったため、心結はガックリと肩を落とした。
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