偽彼

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急に取り乱し始めた心結を、少し驚いたように眺めていた拓哉だった。 が、拓哉もこのまま黙ってる筈もなく── 「じゃあ山野は誤解を解くために今までのいきさつを全て話してもいいのか?携帯小説のことも言わなくちゃいけなくなるんだぞ。それでもいいのか?」 強気の姿勢で心結を攻めてきた。 「そ、それは・・・」 「だろ?だったらこのまま流れに乗っかるのが一番いい。それにこの方が俺もおまえにアドバイスし易くなるし。俺の言うことは間違ってるか?」 「そ、そうかもしれないけど・・・。でもやっぱ納得できないよ!本当は付き合ってないのに付き合ってるなんて嘘つくの。そんなの変だよ」 拓哉の言葉を頑なに否定する心結。 確かに、携帯小説を書いてるのがバレるのは困る。 けど、それ以上に困ることが一つだけあった。 それは─── 実は心結には好きな人がいた。
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