偽彼

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心結が密かに思いを寄せるのは、3年の大崎秀斗(おおさきひでと)先輩。 本が大好きな心結が頻繁に図書室に通ううち、偶然大崎先輩と出会った。 先輩は心結程ではないが、ちょこちょこ図書室に来ては本を読んでいた。 ある日突然先輩から声を掛けられた心結。 「よく会うね。本好きなの?」 たったこの一言だったけど、心結にとってはかなりの衝撃を与える言葉だった。 その一言で、心結の先輩を見る目が変わったのは言うまでもなかった。 毎日図書室に通い、先輩の姿を探す心結。 会話がなくても、先輩を見ているだけで心が満たされた。 その後も図書室で会っても挨拶を交わすことしかできない心結。 しかし心結の想いはどんどん募っていくばかり。 気づくと心結の心は先輩一色に染まっていった。 カッコいい先輩から大好きな先輩へと変化するのに、多くの時間は必要なかった。
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