偽彼

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「何?」 拓哉が不満そうに心結の顔をちらっと見た。 うっ、怖っ! 拓哉に睨まれただけで、心結は何も言い返せなくなっていた。 けどこのまま黙っていいの? 機嫌を損ねると、嫌なお仕置きが待っている。 何でもいい、とにかく何か言わなくちゃ! 「あ、あの~、ど、どうして草壁君は私にそこまでしてくれるの?」 怖くて拓哉を見ることができない心結は、ずっと下を向いたまま咄嗟にそう呟いていた。 そんな心結に拓哉は、衝撃の一言を放った。 「好きだから」 驚いた心結は、拓哉を二度見した。 それでも飽き足らず、三度目に拓哉の顔を見た時、心結は拓哉の視線に捕まってしまった。
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