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携帯を耳に当て、しばらくすると「お掛けになった電話は───」と、アナウンスが流れてきた。
あれっ、通じない。
最後の望みも絶たれ、今にも泣きそうな心結。
もうこれで心結の携帯電話は二度と戻っては来ないのだろうか。
「ちょっと待って。私もかけてみるね」
続いて依理子が携帯を取り出した。
けれどやはり結果は同じ。
「ちょっと~、どうして繋がんない訳?」
その隣で悔しそうに声を荒げる美穂。
そんな美穂の隣で半分泣きかけている心結。
「とにかく教室もどろう。6時間目始まっちゃうし。もう少し冷静に考えてみよう」
4人の中で一番勉強のできる桃香が言った。
教室に戻りながら携帯の行方を思い出そうと必死に考える心結。
けれど、心結の携帯に繋がらない以上、本当に見つかるのだろうか。
ますます落ち込む心結の背中を押しながら、4人は教室に戻って行った。
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