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休憩時間になった。
心結の机には、当然のように3人の顔ぶれが揃っていた。
「さあ心結、思う存分語っちゃってよ!」
好奇心旺盛な桃香が大げさに言った。
「あ、あのね・・・、実は昨日草壁君に、付き合って欲しいって告られたんだ」
「うん、うん」
「それで、どうしようか迷ったんだけど・・・・」
「うん、うん」
「いいよって返事して、付き合うことになったの」
「キャーーーーー!!!おめでとう心結!!」
3人は周りを気にすることなく歓喜の声を上げ、心結を抱きしめた。
本当は嘘なのに・・・。
本気で喜んでる・・・。
心結はそんな依理子たちを複雑な思いで見つめていた。
決して心結に罪悪感がないわけではない。
けど拓哉と契約を交わした以上、こうするより他に方法はなかった。
まっ、何とかなるよ!
楽天家の心結は、常に前向きで、気持ちの切り替えが速かった。
「でも知らなかったわ。あの草壁君が心結のことをねぇ。草壁君て、結構女子の間で人気あるでしょ。だからホント驚いたよ」
「けど心結、気をつけなさいよ。草壁君て、カッコいいだけの男かもしれないよ。聞いた話だと、草壁君と付き合っても2か月経ったら捨てられちゃうんだって。性格は悪いのかもね」
依理子の言葉に心結は大きく頷いた。
確かにその通りだよ。
草壁君、イケメンだけど性格は悪そう。
でも私の場合は平気!
だってフリだけだから!
どこまでも楽観的な心結だった。
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