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不安だらけの心結の頭の中に、6時間目の授業が入ってくる筈はなかった。
携帯を無くしたことを悔やみ、これからどうしたらいいのか悩み続ける心結。
そんな心結の元に、授業が終わると同時に、親友たちがいっせいに駆けつけてくれた。
「心結、元気出しなよ」
「そうだよ。勘違いってこともあるんだしさ」
「とにかく悪用されないように、携帯ショップに電話した方がいいかも」
親友たちが口々に心結を励ましてくれた。
「うん、みんな今日はありがとう!」
心結はこれ以上みんなに心配を掛けたくないと、わざと笑顔を作り答えた。
けど実際の心結の胸中は、決して穏やかではなく、本当は大きな声で泣き叫びたい気分だった。
そんな傷心の心結は、学校帰りに携帯ショップに立ち寄り、何とか自宅に戻った。
この時の心結は、心身ともにすっかり疲れ果てていた。
『絶望』
今の自分にピッタリな言葉だと心結は思った。
そんな心結が、これほどまでに携帯電話にこだわる理由、それは───
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