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「あ、あります!あります!もちろんヤル気十分です!」
拓哉の顔があまりに近くて、心結は声を震わせた。
「ふぅ~。だったらこうして毎日一緒に帰ろう。小説に活かせることがひょっとして起きるかもしれないしさ」
うん、うんと何度も頷く心結。
そんな従順な心結に、拓哉は更なる課題を与えた。
「それと、これからはこうやって帰ろうぜ」
拓哉はニヤリと笑うと、心結の手をギュッと掴んだ。
「俺たちは恋人だろ。手を繋ぐのは当然だよな」
拓哉は心結ににっこりと微笑んだ。
「でも実際は違うでしょ。フリだけなんだから」
いくら楽天家で単純とは言っても、これだけは前向きに考えられない。
拓哉に触れられる度、心結の身体は凍りつき、不快感を抱いていた。
やっぱりこういうのは好きな人としないとダメよ!
しかしそんな心結の頭とは裏腹に、身体は何かを感じ始めたようで。
心臓がビクンと跳ね上がり、呼吸が少し乱れる。
おまけに繋がれた手が焼けるように熱い。
心結は繋がれた手を複雑な思いで見つめていた。
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