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これも草壁君が言っていた罰なの?
じゃあ私は文句の一つも言えないってこと?
だったら私は・・・・。
心結の口から湯気が出ることはなかった。
代わりに心結の目からは、大粒の涙がいくつも零れ落ちた。
「う、うそだろ!?」
今まで強気な姿勢を見せていた拓哉は、驚くと同時に慌てて心結から離れた。
顔を歪めた拓哉の前で、心結は両手で顔を覆い泣き続けた。
「うっ、うう・・・」
本当は心結は泣くつもりなどなかった。
しかし拓哉の理不尽な行動を止めるには、女の武器である涙を見せるより他に、方法を思いつかなかったのだ。
泣くことでしか解決できない自分が悔しくて、心結はさらに声を上げ泣いた。
「悪かったよ。少しやり過ぎた。ごめん」
拓哉はバツが悪そうに謝った。
しかし心結は───
ふんっ!謝ったって許さないんだから。
無言のまま、一層声を上げて泣き続けた。
すると───
「本当にごめん。経験もない山野には刺激が強すぎだよな。反省してる」
「本当?」
「うん本当!山野とは手を繋ぐだけ、それ以上のことは絶対しない」
「じゃあハグは?」
「それはお前次第だろ?お仕置きされなくて済むようにすればいいだけのこと。調子に乗るな!」
拓哉はそう言って腕を組むと、心結を睨みつけた。
「わかった。じゃあ許してあげる」
涙を拭きながら拓哉を許す心結は、結局は単純でしかなかった。
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