泥団子

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私は公園のベンチに座り、我が子の遊ぶ姿を眺めていた。 他の子達とは離れた場所で遊ぶ子供の姿。それは、この子も他人とは上手くやっていく事が出来ないのだろうと、そう考えるに足るものだった。 私には、この子しかいなかった。夫はギャンブルで身を持ち崩し、多額の借金だけを残して消息を絶っている。 私は子供を連れて、借金取りから逃げながら生活をしていた。しかし、そんな生活に私は疲れを感じている。いや、もう限界だった。 私の頭にあるのは『死』という言葉。 きっとこの子も分かってくれるだろう。 そう思いながらも、私の瞳には涙が滲んできていた。 「かーたん、あい」 どれくらい、そこで思い悩んでいたのだろう。 子供の舌っ足らずな声に、私は顔を上げた。 逃げ隠れる生活は、子供から満足な教育を奪い、更に、他人との会話から言葉を覚えるという経験すら奪っていた。 その為、年齢の割りに子供の言葉の発達は遅れている。 私自身、この子といても塞いでいる事が多く、まともに会話をした事がない。 申し訳なく思うと共に、この生活をもう終わらせるのだという決意が新たに湧いてくるのだった。 「かーたん」 その時、再度そう声をかけられ、漸く子供の小さな手が私に差し出されている事に気づいた。
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