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そしてそのままじっとしている僕に彼女は尋ねてきた。
「進まないの?」
その問いに、僕は一度上げた視線を下ろして地を見た。
「僕は歩くのに疲れたんだよ。そして、僕は立ち止まることを選んだ。」
僕とハクを包む風が冷たくなって二人の間をすり抜ける。
その感覚は、あの時に似ている。
キミに、ハクに出会う前の冷めっきたころに。
そして僕は言葉をつづけた。
「立ち止まることを選んだ瞬間から、僕の足は、この足は、前に進むことをやめた。動くことをやめて石になってしまったんだよ。だから、、、僕はもう、、、―」
最後の諦めの言葉を言おうとしたときだった。
彼女は再び面白可笑しく笑いだす。
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